隠れた添加物にも要注意!|ドッグフードの添加物

Photo by هارون يحيى - Wheat-flour(2014) / CC BY-SA 4.0

添加物の分類と主な用途|ドッグフードへの使用例』では一般的にドッグフードで使用されている添加物の分類や用途、実際の使用例について記述しましたが、今回はその中で少し触れた「隠れた添加物」について詳しく解説していきたいと思います。



隠れた添加物?

原材料表に記載されている添加物が全てではありません。
ドッグフードの添加物の中で見落としがちな(というか見えない)、隠れた添加物について解説します。

「隠れた添加物って何?」
と多くの方が思うかもしれませんね。
添加物の分類と主な用途|ドッグフードへの使用例』ではこのように記述しました。

”・・・仕入れた原料に元々入っている添加物についてはラベルに表示する義務はありません。 つまり、仕入れた原料に添加物が使われていたとしても、ドッグフード(ペットフード)製造工場で添加物を添加していなければ、製品の原材料表に記載する必要はなく、製造工場で全く添加物を添加していない場合、その製品は「無添加」として流通させることができるのです。”

ペットフード製造工場が仕入れた「原料に元々入っている添加物」は、製品の原材料表に記載する決まりがないので、実際にペットフードには原材料表に記載されているもの以外にも、様々な添加物が混入している可能性があります。

情報としてラベルに記載されていないそれらは決して消費者の目に見えることはありません。
これが「隠れた添加物」とした理由ですが、「見えない添加物」とも言えますね。
言い方はどうであれ、製品のパッケージに記載されない添加物は実は数多くあり、健康への悪影響が指摘されているものもこれまた多いというのが実情です。



要注意!見えない添加物

アメリカの動物保護協会、API(Animal Protection Institute)はペットフードに含まれている添加物として以下の添加物をリストアップしています。

Anticaking agents(固化防止剤)
Antimicrobial agents(抗菌剤)
Antioxidants(酸化防止剤)
Coloring agents(着色剤)
Curing agents(硬化剤)
Drying agents(乾燥剤)
Emulsifiers(乳化剤)
Firming agents(安定剤)
Flavor enhancers(うま味調味料)
Flavoring agents(香味剤)
Flour treating agents(小麦粉処理剤)
Formulation aids(結合剤)
Humectants(湿潤剤)
Leavening agents(膨張剤)
Lubricants(潤滑剤)
Nonnutritive sweeteners(非栄養性甘味料)
Nutritive sweeteners(栄養性甘味料)
Oxidizing and reducing agents(酸化、還元剤)
pH control agents(ペーハー調整剤)
Processing aids(加工助剤)
Sequestrants(金属イオン封鎖剤)
Solvents, vehicles(溶剤、媒体)
Stabilizers, thickeners(増粘安定剤)
Surface active agents(界面活性剤)
Surface finishing agents(表面処理剤)
Synergists(相乗剤)
Texturizers(品質改良剤)

例えばFlour treating agentsはFlour treatment agentsとも言われますが、小麦粉処理剤のことで、小麦粉(などの粉末状に加工された食品 / Flour)に使われる漂白剤、乳化剤、酵素剤、酸化剤および還元剤の総称です。

アメリカやカナダで買える小麦粉は特に表記がない限り漂白(Bleached)されています。
全ての漂白小麦粉がそうではありませんが、小麦粉を漂白する際に添加物(漂白剤)を使用しているものがあります。
この際に使われる漂白剤は単に仕上がりを白くする目的だけではなく、粉になった小麦の粉粒の表面を酸化し、グルテンの発生を助け、小麦粉を長持ちさせる目的でも用いられ、さらに熟成を早めて製品を早期に安定させる役割もあります。

小麦粉の漂白剤として通常使われるのは、過酸化ベンゾイル、過酸化カルシウム、二酸化窒素、塩素、二酸化塩素、臭素酸カリウム、アゾジカルボンアミドなどがあり、EU(欧州連合)では塩素、臭素酸塩、過酸化物の使用は認められていませんが、アメリカなどでは使用されています。

日本でも小麦粉処理剤として過酸化ベンゾイル、希釈過酸化ベンゾイル、過硫酸アンモニウム、二酸化塩素、そして臭素酸カリウム(小麦粉を原料としたパンに限る)の使用が認められています。(厚生労働省添加物使用基準リスト / 2017年4月現在)

日本の小麦粉製造メーカーは通常添加物を使用していないようですが、アメリカなど海外の一部の国では漂白剤などの添加物を添加し、安価な方法で大量に小麦粉を生産しています。

ペットフードに使用される小麦粉は、その多くが人間の食用に適さない原料(飼料用小麦など)から作られていると考えられます。
つまり私たちが普段スーパーなどで目にする小麦粉のような高級品ではなく、業務用の小麦粉よりもはるかにグレードが劣る品質の小麦粉がペットフードに使われているということです。
ペットフードに高品質で高価な小麦粉を使用することは通常はありません。

当然ですが、飼料用小麦は(人間の)主食用小麦よりも低い価格で加工工場に売り渡されています。安いものでは1トン当たり百ドル程度(100g当たり1円ほど)と、とても安価です。
そして飼料用として加工される小麦には、より安価な方法で製品を加工し、早期に安定させるため、食品添加物として認められているもの以外の添加物が使用されていることも考えられます。使用量の上限規制も緩いでしょう。

衛生管理をはじめとする様々な管理が行き届いていない工場が存在することも予想されます。
実際に2007年のペットフード大量リコール事件、全世界で数千匹以上のペットの命が犠牲になった事件の主な原因は、大量のメラミンで汚染された小麦グルテンとされています。
もちろんこのケースは論外ですが、どこかでまた違った形で再発する可能性は否定できず、それがいつ起こるかなど予想もつきません。

もちろん衛生面を含む品質管理が行き届いた工場がほとんどだとは思うのですが、中にはそうでない工場もあり、2007年のペットフード大量リコール事件をはじめとするペットフードの数多くのリコール問題や、ペットフードに起因する過去の健康問題を現実の問題として受け止めなくてはならないのです。
ペットフード業界や関連する産業の自浄努力は踏まえた上で、ペットフードには常に危険が伴い、その危険性が人間用の食品よりも高いという認識を持っておかなくてはなりません。

少し脱線しましたが、こうして加工された小麦は、小麦粉や小麦ふすま(表皮)、さらに小麦胚芽や小麦グルテンとして飼料用に流通します。

このように小麦粉にも様々な添加物が使用されている場合があり、それらの添加物はドッグフードの原材料表に記載する決まりがないのです。
漂白剤として使用される添加物の多くは、EU諸国をはじめいくつかの国で使用が禁止されていることからも分かる通り、健康への悪影響が指摘されています。

少量であれば問題はないのかもしれませんが、ドッグフードの原材料表の上位に小麦粉が記載されているのであれば、必然的に製品中のそれらの添加物の割合が高まります。
小麦粉にもともと含まれる添加物が、犬の小麦アレルギーに少なからず影響している部分もあるのかもしれません。

小麦粉だけを取り出してみても多くの問題が潜在しているのですが、ドッグフード全体を見た時に考えられる危険性はこの限りではなく、含有されている恐れのある添加物は多岐に渡ってさらに複雑な問題となり、その全てが消費者に明かされることはありません。

ひとつ補足しておくと、アレルギーの有無は別にして、全ての小麦粉が危険というわけではありません。小麦粉でも無添加で品質の良いものは沢山あります。
問題は低品質の小麦粉の原料(小麦と添加物)とその製造方法にあり、ペットフードに使用される小麦粉は最低ランクのものが使われている可能性が高いということです。
そしてこれは小麦粉だけが持つ問題ではないのです。

Flour treatment agentsは小麦粉だけに用いられるものではなく、とうもろこし粉や大豆粉など、粉末状の食品(Flour)全般に使用されます。
加工性の向上、生産性の向上、製品の早期安定化、防腐など、その目的は漂白だけにとどまりません。それら全てが成分の栄養価の向上に貢献するわけでもありません。逆に多くが本来の栄養素を破壊します。

また、Sequestrants(金属イオン封鎖剤)、Solvents, vehicles(溶剤、媒体)、Surface active agents(界面活性剤)、Surface finishing agents(表面処理剤)などは食品添加物としてもペットフードの添加物としてもあまり聞き覚えがないというか、馴染みがありませんね。
これらが犬に与える影響は未知数です。継続的に食べ続けたとして、健康に害がない保証はありません。

「見えない添加物」を避けるのは難しい事かもしれません。ドッグフードのパッケージを見て、危険な添加物を避ける方は多いと思います。しかし、「見えない添加物」についてはどうでしょうか?
近代から現代にかけて消費者の健康志向が高まり、ペットフードに関しても多くの規制が整備され、犬の寿命も伸びてきました。
しかし、それと相反するように犬のアレルギーや原因不明の病は近年増えています。

「添加物を避けているのにおかしいな?」
といった場合、この「見えない添加物」が影響していることも否定できません。

そこまで考えるのは神経質すぎるのではないかと思う反面、これぐらいでちょうどいいようにも思います。
コストダウンを追求するメーカーは往々にして安価な方法で製造された粗悪な原料を使用しています。その分「見えない添加物」の割合も高くなるのは容易に考えられます。

では、この「見えない添加物」を避けるにはどうすればいいか?ですが、こればかりは「想像力」を持って臨むしかありません。
だって、パッケージに書いていないんですから・・・。



「見えない添加物」を避ける方法

本当に犬の健康を考えてドッグフードを作っているメーカーであれば、原料を選ぶ段階で素材を吟味しているはずです。「良心的な」メーカーであればまず間違いは無いでしょう。
問題はそれをどうやって見分けるかですが、想像力を働かせるしかありません。

まず、原材料表で安全性が疑わしい添加物を使っているドッグフード、あるいはそのメーカーのものは避けます。安全性が疑わしい添加物を使っている時点で、「見えない添加物」への配慮はないと考えるべきです。

これだけで半分以上は危険が避けられると思いますが、別の言い方をすると選択肢に入るドッグフードが半分以下になります。

次に、「〇〇粉」と記載されているドッグフードを避けます。「〇〇ミール」や「〇〇ふすま」、「〇〇グルテン」や「脱脂〇〇」も当てはまります。
要するに原料の時点で加工されているものを避けるのです。

例えばとうもろこしなら「とうもろこし粉」「コーンスターチ(とうもろこし澱粉)」「コーングルテン」「コーングルテンミール」「コーングルテンフィード」がこれに当たります。
原材料表に「とうもろこし」とだけ記載されているのであれば、とうもろこしに関してはFlour treatment agentsは使用されていないはずです。

これでさらに半分以上は危険が避けられると思います。市販されているドッグフードで要件を満たすものは2割もないかもわかりませんね。

最後に、上記の要件を満たした上で、信頼の置けるメーカーのものを犬に与え、しばらく様子を見るのです。ここまでくれば、犬固有で持つ特定のアレルギー以外は心配はほぼなくなると思われます。
ここでアレルギーが出る、あるいはそれまで出ていたアレルギーが治らないといった場合は、思い切って別のメーカーのものに変えます。それでアレルギーが治れば、そのドッグフードで固定します。
あとは継続的に与えて犬が元気で健康に過ごせるなら問題はないでしょう。

と、ここに至るまでには相当時間がかかるようにも思いますが、犬の健康を考えて作られているドッグフードを見つけ、そのドッグフードがワンちゃんに合えばそれでいいわけです。一度の選択で終われば時間はかかりません。
たとえ相当に時間がかかったとしても、犬の健康を思えばやる価値はあります。

ここに記したものはあくまで「見えない添加物」を避ける方法にすぎず、これがドッグフード選びの全てではありませんが、「見えない添加物」を避ける意識と想像力を持つことで、犬の健康に良い影響を与える可能性はぐんと高まります。

愛犬がアレルギーとも病気とも無縁で、毎日活き活きと健やかに過ごせるのなら、こんなに嬉しいことはありません。アレルギーや病気がちなワンちゃんが少しでも回復すれば、これまた喜びもひとしおですね。

みなさんの「見えない添加物」を避ける意識と想像力が膨らむきっかけになれば、そしてそのことがワンちゃんの健康に繋がるのだとしたら、とても嬉しく思います。

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ドッグフードの危険な原材料|「体に悪い添加物」編【完全版】


※ここで記述した危険な添加物、安全性の疑わしい添加物が一切使われていないドッグフードも少なからず存在します。
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