ドッグフードの原材料の見方|5つのポイント


皆さんはドッグフードを選ぶ際に何を重要視しているでしょうか。パッケージデザイン?メーカーの謳い文句?
ドッグフードを選ぶ際に重要なのはそのどちらでもありません。

パッケージデザインは中身の良し悪しには一切関係なく、メーカーの謳い文句もさして重要ではありません。
ドッグフードを選ぶ際に見るべきは原材料表示と成分表示です。

でも原材料表示と成分表示などどれも似たり寄ったりでどこをどう見ればいいのか、何が良くて何が悪いのかいまいち分かりづらい、という方もいらっしゃると思います。

そういった方のために、今回は原材料表示を見る時に気を付けなくてはならない5つのポイントを紹介していきます。
これを見ればもうドッグフード選びで妥協することはなくなるでしょう。



①まずは主要な原材料をチェック

まず、原材料表示の中で一番最初に記載されているものを見ましょう。基本的には使われている原料の重量順、重たいものから順番に記載されています。
一番最初に記載されているものは第一原材料と言って、ここを見ることでそのドッグフードに使われている主要な原材料がわかるのですが、「チキン」や「牛肉」などと言った表記で、肉が第一原材料になっていることが望ましいです。

先ほど「基本的には使われている原料の重量順、重たいものから順番に記載されています」と書きましたが、ここで「基本的には」としているのはなぜかというと、原材料名の記載順序は法律で決まっているわけではないからなのです。
環境省は原材料名の記載についてこう説明しています。

”公正取引委員会の認定を受けた「ペットフードの表示に関する公正競争規約・施行規則」では、原材料名の表示は、使用量の多い順に記載すると定められています。ペットフード安全法では、原材料名の記載順序は特に規定していませんが、消費者に対する適切な情報提供の観点からは、原則、多い順に記載することが望ましいと考えます。”

出典:「ペットフード安全法に関するQ&A」(環境省ホームページ)
当該ページのURL 
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/petfood/qa_index.html

意外にも、ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)では原材料名の記載の順序を規定していないのですね。
また、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」は法的な効力はなく、あくまでも自主的な規制として運用されています。
このため、規約を運営するペットフード公正取引協議会による非会員に対する違反などの罰則適用はありません。

とは言っても、通常多くの事業者がルールに則り、使用量の多い順に原材料名を記載しているものと思われるので、この部分はあまり気にする必要はないのかもしれません。
しかし、ペットフードの安全基準、規制や表示方法は、人間用の食品とは少し違うということは覚えておいたほうがいいでしょう。

原材料表示を見る際に特に気をつけなくてはならないのは次にお話しする「表示のごまかし」についてです。


②表示のごまかしに気をつけて!

表示のごまかしというと言葉が悪いようですが、実際に消費者を欺くような表示のされ方が散見されるというのは事実です。ペットフード業界ならではの問題かもしれません。

例えばこのような原材料表があったとします。

製品1内容
原材料とうもろこし、小麦、チキンミール、ミートミール、大豆、チキン、動物性油脂、・・・

以下省略



とうもろこし、小麦、チキンミールの順番ですね。
「分類名表示」を使って「肉類」をまとめるとこうなります。

製品2内容
原材料とうもろこし、肉類(チキンミール、ミートミール、チキン)、小麦、大豆、動物性油脂、・・・

以下省略



「肉類」が2番目にきました。
ペットフード安全法では、個別名と分類名を同時に混ぜて使用してもいいことになっています。このように「肉類だけ分類名表示を使う」ことによって、記載の順番を上位にすることができるという一例です。

さらに「分割表示」を使うとこうなります。

製品3内容
原材料肉類(チキンミール、ミートミール、チキン)、コーンスターチ、小麦、大豆、コーングルテンミール、コーングルテンフィード、動物性油脂、・・・

以下省略



「肉類」が第一原材料になりました。
これはとうもろこしを「分割表示」したのもで、コーンスターチはとうもろこしの澱粉、コーングルテンミールとコーングルテンフィードは澱粉を作る際にできる副産物で、いずれもとうもろこし由来のものです。
とうもろこしを分割して表示することによって見た目上は「肉類」を第一原材料にすることができたのです。
これではいくらメーカーが原材料を重量順に記載するというルールに則っていたとしても、実際に何が主要な原料なのか消費者には分かりませんね。

さらに分割を進めます。

製品4内容
原材料肉類(チキンミール、ミートミール、チキン)、コーンスターチ、小麦粉、コーングルテンミール、コーングルテンフィード、小麦たん白、脱脂大豆、動物性油脂、大豆粉末、小麦ふすま、・・・

以下省略



だんだんとそれらしくなってきました・・・。
小麦を小麦粉・小麦たん白・小麦ふすまに分け、大豆を脱脂大豆・大豆粉末に分けたものです。粉末状などでそれぞれの原料を個別に仕入れた場合、このような表示が可能になります。

「肉類」が一番最初に表記されていると、肉を求める消費者にはいいアピールになります。
また、分割して表示することによって見た目上の内容が増え、いろんな原料が使われていていかにも栄養バランスがいいようにも見えます。

「製品1」と「製品4」を並べてみます。どちらも実際の原料は同一であることに注目して下さい。

製品1内容
原材料とうもろこし、小麦、チキンミール、ミートミール、大豆、チキン、動物性油脂、・・・

以下省略



製品4内容
原材料肉類(チキンミール、ミートミール、チキン)、コーンスターチ、小麦粉、コーングルテンミール、コーングルテンフィード、小麦たん白、脱脂大豆、動物性油脂、大豆粉末、小麦ふすま、・・・

以下省略



これらはあくまでも一例にすぎず、実際にはこの他にも表示のごまかしがある可能性は否定できません。
いわゆるグレーゾーンにあたる部分ですが、あまりにも紛らわしい表示をしているメーカーのものは避けた方がいいでしょう。



③実は恐ろしい肉類の内容

「肉類」と表示されていれば「肉」を使っていると思いがちですが、実はそうとは限りません。
例えば、「肉類(チキン、ビーフ)」と書かれていればチキンとビーフが使われていることがわかり、肉の品質の問題は別にして、ひとまずは安心できます。

気を付けなくてはいけないのは以下の表記です。

・◯◯ミール(◯◯肉粉)
・◯◯ボーンミール(◯◯肉骨粉)
・◯◯副産物
・◯◯副産物ミール(◯◯副産物肉粉)



上記に挙げたものは全て肉類に分類されますが、正しい意味での肉ではありません。というよりも、人が食べられるようなものは含まれていないと考えた方がいいでしょう。
これらは人間の食用部分を除いて加工されたもの、あるいは人間の食用に適さない肉などが含まれている可能性があるものになります。
その内容はたとえ人間用ではないとしても、決して食用に適したものではないと思われます。

例えば、ミール(肉粉)は血液・毛・蹄・角・くず皮・糞・胃、および(処理の際やむを得ない場合を除いて)内容物を除去した第一胃を精製し、水分と脂肪の大部分を除去したものです。
動物の毛や蹄、角や糞まで含まれているのですね。


ボーンミール(肉骨粉)は狂牛病で有名になった、あの肉骨粉です。
もともと牛が大量に食べる飼料の経費を安く済ませるために牛に与えられていましたが、現在ではペットフードに使用されています。

副産物は肉副産物、家禽副産物、副産物ミールなどに分かれますが、肉副産物には肺・脾臓・腎臓・脳・肝臓・血液・骨・部分的に脱脂された低温脂肪組織・内容物を除いた胃および腸が含まれます。
ここには毛と角、歯や蹄は含まれませんが、別の言い方をすれば、内臓や骨を含む筋肉組織以外の動物の大部分が含まれると言えます。

これら肉の分類はAAFCO(Association of American Feed Control Officials / 全米飼料検査官協会)が定めていて、日本もこれに則っています。
決して違法ではないのですが、逆に言うとペットフード業界とそれに関連する業界、畜産業や廃肉加工業、レンダリング産業などの利権が絡んだ闇の部分とも言えます。



いかがでしょうか?ミールやボーンミール、副産物といった「肉類」がいかに低品質で粗悪なもので成り立っているか、ご理解頂けたのではないかと思います。

過去にはそれらの中から、動物を安楽死させる時に使用した薬物の成分が検出されて問題になったこともあります。

もちろんこれら全てが犬の健康に悪く、これらを使用するメーカーの全てが犬の健康について考えていない、というわけではありません。ミールや副産物であっても中には品質の良いものも存在するようです。

ですが、低価格のドッグフードは低品質で粗悪な原料を使っている可能性が極めて高く、そのようなドッグフードは犬の健康を害する恐れがあることは知っておいて下さい。

パウダーとエキスも内容が不明なので極力避けたいものです。

また、市販されているものの中には「肉類(◯◯等)」といった表記も散見されます。この場合は肉以外の部分が使われていると考えた方がいいでしょう。
同じく内容がはっきりとせず、曖昧な表記のされ方なので、なるべく避けるべきです。



※肉類についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい ↓

ドッグフードの危険な原材料|「実は恐ろしい肉類の内容」編



④正体不明の動物性油脂

ドッグフードによく使われている動物性油脂ですが、危険性が極めて高い原料です。

まず、何の動物から取れたものかがわかりません。牛や豚、鳥とは限らないんですね。私たちの身近にいない動物が含まれている可能性もあります。

さらに、犬や猫が含まれているとしたらどうでしょうか?実際レンダリング(Rendering / 廃肉処理)を行う工場には犬や猫を含め、私たちの身近にいる動物からそうではない動物まで、ありとあらゆる動物が運び込まれているのです。

事故で死んだ動物、病気の動物、駆除された動物、安楽死させられた動物、腐敗が進んだ死骸、それら全てが個別に、時にはいっしょくたにレンダリング処理され、精製されたものが動物性油脂になるのです。

動物性油脂は先述したミール(肉粉)やボーンミール(肉骨粉)などを作る際に二次的に作られる副産物でもありますが、動物の個体全てを含んだもの、廃棄される内容のものから産出されるものでもあります。

腐った肉をパッケージごとレンダリングマシンに投入している事例もあり、この場合はプラスチックや紙などの成分が混入することになります。

このようにして作られた動物性油脂は一部の添加物を除いて、ペットフードに使われている原料の中で一番危険な原料とされています。

動物性油脂の中にも品質の良いものがあるので、全ての動物性油脂が危険であるとは言えませんが、「動物性油脂」の表記だけでは内容がわからず、危険性は否定できません。
少なくとも何の動物のどのような油か明記されていない限りは、「動物性油脂」は避けるべき原料であると言えます。

※動物性油脂についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい ↓

ドッグフードの危険な原材料|「正体不明の動物性油脂」編



⑤体に悪い添加物

添加物には様々な種類があります。酸化防止剤、保存料、着色料、香料、甘味料などですね。

製品A内容
原材料生ラム肉(イギリス産)55%以上、玄米18%以上、ベジタブル・ハーブミックス、全粒大麦、全粒オーツ麦、亜麻仁、テンサイ、ビール酵母



製品B内容
原材料穀物、肉類(チキン加水分解物、チキン、ビーフ等)、大豆、油脂類(パーム油等)、タンパク質加水分解物、植物性タンパク、ビートパルプ、キシロース、野菜類(トマト、ほうれん草、にんじん)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、D3、E、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸)、ミネラル類(亜鉛、カリウム、カルシウム、クロライド、セレン、鉄、銅、マンガン、ヨウ素、リン)、アミノ酸(グリシン、システイン、メチオニン)、着色料(青2、赤102、黄4、黄5、二酸化チタン)、保存料(ソルビン酸K)、酸化防止剤(BHA、BHT、クエン酸)、pH調整剤



上記の原材料表はどちらも実在するドッグフードの原材料表になります。
パッと見ても「製品A」はシンプルで内容が少なく、逆に「製品B」は内容が多くて何やらいろいろ入っていることがわかります。



シンプルな「製品A」

製品A内容
原材料生ラム肉(イギリス産)55%以上、玄米18%以上、ベジタブル・ハーブミックス、全粒大麦、全粒オーツ麦、亜麻仁、テンサイ、ビール酵母



隠すこともないので製品名を明かすと、「製品A」はイギリスのナチュラルドッグフードカンパニー(Natural Dog Food Company)が製造している「アダルトラム(ADULT LAMB)」という製品名のドッグフードで、日本では「アランズナチュラルドッグフード」と言う名前で販売されています。

本国イギリスを中心にヨーロッパで人気が高く、日本でも品質の良さから非常に高評価を得ているドッグフードなのですが、使用されている原材料はいたってシンプルで、添加物の記載もありません。

逆にシンプルすぎて「この内容で大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、厳選された素材を使うことにより、10種類の原料だけで犬の健康を維持することに成功しています。
「アランズナチュラルドッグフード」の公式ホームページではこう説明されています。

「ナチュラルドッグフードのレシピは、愛犬が本当に必要としている栄養素を摂取できるよう、獣医師・栄養士・植物学者が協力し、2年の歳月を費やして編み出したもの。愛犬の健康を考えると、原材料はこれだけで十分なのです。」

公式ホームページはこちらです ↓

イギリス産『アランズ ナチュラルドッグフード』



いろいろ入っている「製品B」

製品B内容
原材料穀物、肉類(チキン加水分解物、チキン、ビーフ等)、大豆、油脂類(パーム油等)、タンパク質加水分解物、植物性タンパク、ビートパルプ、キシロース、野菜類(トマト、ほうれん草、にんじん)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、D3、E、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸)、ミネラル類(亜鉛、カリウム、カルシウム、クロライド、セレン、鉄、銅、マンガン、ヨウ素、リン)、アミノ酸(グリシン、システイン、メチオニン)、着色料(青2、赤102、黄4、黄5、二酸化チタン)、保存料(ソルビン酸K)、酸化防止剤(BHA、BHT、クエン酸)、pH調整剤



こちらの方が一般的かもしれませんね。「製品B」です。
市販されている多くのドッグフードがこれと似たような内容になっていると思います。

添加物は着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤が使われています。添加物としての表記はありませんが、「キシロース」は植物由来の甘味料です。

無添加のドッグフードが存在する以上、これらの添加物は本来必要ないと言えますが、原材料の品質の低さを補うためや賞味期限を伸ばす目的などの理由で、多くのドッグフードに添加物が使われているのが現状です。



特に避けた方がいい添加物

添加物の中には健康に害のないものもありますが、発がん性やアレルギー性が指摘されているものなど、犬の健康に深刻な悪影響を与える可能性のあるものも存在します。

酸化防止剤として使われる「BHA(ブチルヒドロキシアニソール)」は発がん性が指摘されています。多量を摂取しなければ人体に影響はないとされていますが、犬の体への影響は未知数です。
「BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)」は発ガン性は確認されていないものの変異原性(遺伝子への悪影響)が認められていて、さらに催奇形性(奇形が起こる危険性)の疑いがあるためにアメリカでは乳幼児用食品への使用が禁止されていて、ヨーロッパの多くの国が食品への添加を禁止しています。



保存料として使われる「ソルビン酸K(ソルビン酸カリウム)」は、亜硝酸ナトリウムと反応すると発ガン性物質を発生させることがわかっています。

着色料として使用される「赤色2・3・40・102~106号」「青色1・2号」「緑色3号」「黄色4・5号」などは石油由来のもので、それぞれ発がん性やアレルギー性が指摘されています。
「二酸化チタン」も発がん性が指摘されていて、アルツハイマーや不妊の原因になるとして危険性が指摘されています。

甘味料として使用される「キシロース」が多量に含まれた飼料を動物が食べると白内障を起こすことがわかっています。
また、キシロースは還元すると「キシリトール」になりますが、「キシリトール」は犬に与えてはいけない代表的な物質で、犬が摂取すると多量のインスリンを放出して肝機能に深刻な悪影響が出るなど、場合によっては生命に危険が及ぶこともあります。




酸化防止剤や保存料はドッグフードを長持ちさせるために重要な添加物ですが、「ビタミンC」「ビタミンE」「ミックストコフェロール」「クエン酸」「ローズマリー抽出物」など、天然由来のものが望ましいです。
ただ無添加、あるいは天然由来の酸化防止剤や保存料が使われているドッグフードは腐りやすいという面もあるので、こういったドッグフードを購入するのであれば賞味期限と保管状態には十分注意して下さい。

着色料は犬にとっては無意味で(犬は人間とは違う色彩感覚を持つため)、ドッグフードの色は人間にアピールするためのものだと考えて下さい。
犬にとって必要ではなく、害しかありません。

甘味料は主に嗜好性を高める(犬が美味しいと感じる)ために添加されますが、糖由来のものは糖分の取りすぎになる恐れがあり、合成甘味料は犬への影響が未知数なので、なるべく避けたいものです。



上記以外にも様々な添加物が存在しますが、あまりわけのわからないものは避けるのが無難です。
添加物は少なければ少ないほどよく、「無い」に越したことはありません。

※添加物についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい ↓

ドッグフードの危険な原材料|「体に悪い添加物」編【完全版】



最後に

「これじゃあ買えるドッグフードねえじゃねーか」
という声が聞こえてきそうですが、決してそうではありません。今回紹介した5つのポイントを踏まえた上で、選択肢に入るドッグフードは少なからず存在します。

普段ワンちゃんが食べているドッグフードを今一度見つめ直し、新しいドッグフードを選ぶ際の参考にして頂ければ幸いです。


※ここで記述した危険な原材料、安全性の疑わしい原材料が一切使われていないドッグフードも少なからず存在します。
安全・安心で良質なドッグフードをお探しの方はこちらをご覧下さい ↓↓↓

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