ドッグフードの危険な原材料|「正体不明の動物性油脂」編

Photo by Fotoos Van Robin - Tallow-beef suet after rendering(2007)  / CC BY-SA 2.0

ドッグフードの原材料の見方|5つのポイント』で記述した5つのポイントのうちのひとつ、「正体不明の動物性油脂」についてもう少し詳しく解説します。
「動物性油脂」は「動物性脂肪」とも言われますが、動物の脂肪から取れた油のことですね。

動物の油は古くから人に利用されてきました。食用以外としての用途は主に石鹸と燃料(ろうそくなど)が挙げられますが、その歴史は古代にまで遡ります。



古代の動物油脂利用の記録

動物の脂から作られた石鹸

古代より、人は体やものを洗う時に、単に水だけではなく、他の物質も併用していました。
他の物質とは灰汁や植物、そして今でいう「石鹸」を指します。

古代ローマでは羊を焼いて神に捧げる宗教的儀式が行われていました。その際に炎によって焼かれた羊の脂が滴り落ちて草木の灰と混じって固まり、あるいはそれらが雨によって川に流され、川の中に蓄積することで個形状の物質ができました。この物質は汚れ落としとして、洗濯など、ものを洗う時に利用され始めます。
これが「石鹸」の原型とされています。

石鹸は油脂をアルカリ剤と混ぜて煮ることによって作られますが、燃え盛る草木の灰がアルカリ剤の役目を果たし、焼かれた羊の脂と反応したことで、偶然にも石鹸のような物質ができたと考えられています。
儀式が行われていた土地の名前、サポー(Sapo)がソープ(Soap)の由来になったという説もありますが、これとは別の事柄を由来とする説もあります。
いずれにしても古代から動物の脂肪が石鹸として使われていたのは確かなようです。

紀元前2500年頃のシュメール(古代メソポタミア文明)の遺跡から発見された粘土板が、石鹸の作り方が記された最古の記録になります。
粘土板には、草木の灰に動物の脂や植物の油などを混ぜることで石鹸を作り、織布の洗浄や塗り薬として使われていたことが記されています。



燃料としての利用

一方でろうそくの歴史も古く、古代エジプトではミイラ作成などで古くから蜜蝋が使われていて、動物の脂は主に松明やランプとして、あるいはろうそくの原型のようなものの燃料として使用されていました。

ローマ時代後期には北部ヨーロッパで獣脂ろうそくが誕生し、ローマ帝国時代の終わりには西ヨーロッパでオリーブ油が不足したことから、獣脂ろうそくはヨーロッパ全土に広まりました。

燃料の用途としては、さらに古い時代から利用されていたと考えられます。おそらくヒトが火を使い、動物を焼いて食べるようになって間もない頃から、何らかの形で動物の脂が利用されていたのではないでしょうか。
肉を焼くと脂に火がついて勢いよく炎が燃え盛りますね。それを見た古代人は枯れ木や乾いた草と同様に、動物の脂を燃料として利用し始めたと思われます。

ランプやろうそくの材料など、燃料用途としての動物の脂の利用は長く続きます。石油が利用され始めるとそれにとって代わられ、電灯の登場によってランプやろうそくは衰退していきますが、現在でも一部の地域や特定の用途、昔ながらの風習を重んじる人たちの間でランプやろうそくの明かりが使われ、時に動物の脂が燃料として使われています。



ドッグフードと動物性油脂

ドッグフードに動物性油脂を用いる目的

通常ドッグフードに動物性油脂を用いる主な目的は、栄養素を添加すること、ではなく、ドッグフードの形状を安定させることです。

ドライタイプのドッグフードは多くが粉末状の原料(肉粉・肉骨粉・とうもろこし粉・澱粉・添加剤など)を使用しています。特に安価なドッグフードはその割合が高く、脂肪分や水分がほとんど入っていません。
製造過程で動物性油脂を混ぜることで原料をなじませ、あるいは粒状に出来上がった段階で動物性油脂を吹きかけることで油分でコーティングし、その形状を安定させるのです。

また、脂っぽい食感と嗅覚をくすぐる匂いで犬が美味しく感じるということから、犬の食いつきをよくするために動物性油脂を使用している面もあるようです。



動物性油脂の製造過程

ドッグフードに使われる動物性油脂は廃肉処理の工程で作られます。
主に肉粉や肉骨粉といったレンダリング製品の副産物として動物性油脂が産出されるのですが、肉粉や肉骨粉などについて詳しくはこちらで解説しています ↓

ドッグフードの危険な原材料|「実は恐ろしい肉類の内容」編

レンダリング(Rendering / 廃肉処理)産業は、最も古いリサイクル産業のひとつであり、大規模な食品産業の発展を可能にしました。言い換えればレンダリング技術やその発想がなければ動物由来の廃棄物の量が膨大になり、その分焼却炉などの廃棄物処理施設や埋立地の利用と範囲が増え、経済的にも環境的にも大きく負担をかけることになっていたのです。
レンダリング産業がなければ、今日のような食品産業の発展はなかったのかもしれません。

レンダリングによって得られた油脂は、主に石鹸、ろうそく、グリース、バイオディーゼルを製造する際の低コストの原材料として、および化学工業用の原料として使用されています。
動物飼料としても利用され、その一部がペットフードに使われます。

ドッグフードの原材料の見方|5つのポイント』より転載です ↓

「ドッグフードによく使われている動物性油脂ですが、危険性が極めて高い原料です。

まず、何の動物から取れたものかがわかりません。牛や豚、鳥とは限らないんですね。私たちの身近にいない動物が含まれている可能性もあります。

さらに、犬や猫が含まれているとしたらどうでしょうか?実際レンダリング(Rendering / 廃肉処理)を行う工場には犬や猫を含め、私たちの身近にいる動物からそうではない動物まで、ありとあらゆる動物が運び込まれているのです。

事故で死んだ動物、病気の動物、駆除された動物、安楽死させられた動物、腐敗が進んだ死骸、それら全てが個別に、時にはいっしょくたにレンダリング処理され、精製されたものが動物性油脂になるのです。

動物性油脂は先述したミール(肉粉)やボーンミール(肉骨粉)などを作る際に二次的に作られる副産物でもありますが、動物の個体全てを含んだもの、廃棄される内容のものから産出されるものでもあります。

腐った肉をパッケージごとレンダリングマシンに投入している事例もあり、この場合はプラスチックや紙などの成分が混入することになります。

このようにして作られた動物性油脂は一部の添加物を除いて、ペットフードに使われている原料の中で一番危険な原料とされています。

動物の脂肪から作られた油脂の中にも品質の良いものがあるので、全ての動物性油脂が危険であるとは言えませんが、「動物性油脂」の表記だけでは内容がわからず、危険性は否定できません。
 少なくとも何の動物のどのような油か明記されていない限りは、「動物性油脂」は避けるべき原料であると言えます。」



いくつかの例では、「安楽死させた動物」がレンダリング工場での処理を経て、医薬品、化粧品、ゼラチン、肥料、家禽飼料、そしてペットフードで使用されたという歴史があります。
これらの事実を知った消費者からは当然批判の声が上がりました。
もちろん犬の飼い主も政府へ抗議しました。

2002年、FDA(米国食品医薬品局 / U.S. Food and Drug Administration)は検査した食品に犬または猫のDNAは見つからず、当該のドッグフードに含まれる薬物は安楽死した牛および馬に由来するとし、さらにペットフードに含まれる薬物の量は安全であったとして、この問題を沈静化しました。

「当該製品には犬猫は入っていないし、薬の量もそれほど多くないから問題ないだろう」
ということですね。

先述したようにレンダリングは必要なものであり、歴史も古く、それ自体が悪いわけでは決してありません。
しかし、本来廃棄するしかない内容のものまで処理し、付加価値を与えて様々な用途で使えるようにしているのが実情です。

その一部が動物性油脂として流通し、酷いものは人間の口には入りませんが、犬や猫、その他の動物の口に入ります。

可能性として、目の前にいるワンちゃんが、犬や猫由来の、獣由来の、病気や薬漬けにされた動物の、安楽死させられた動物の、腐った死骸や賞味期限が切れてパッケージごとレンダリングされた製品の、あるいはそれらが一緒くたに処理されたものから取れた、恐ろしい油を食べる(食べ続けている)ことも考えられるのです。

また、動物性油脂は酸化しやすいため、腐敗を防ぐために防腐剤や酸化防止剤を使用します。動物性油脂を使うのであれば、ドッグフード製造工場ではその分の防腐剤や酸化防止剤の量が増えます。流通する段階ですでに大量の防腐剤が使われていることも考えられます。

「無添加」のドッグフードに動物性油脂が使われている場合は注意が必要です。というのも、ペットフードの規制では、仕入れた原料に添加物が入っていても、ドッグフード製造工場で添加物を使用していなければ、原材料表に記載する必要がなく、「無添加」として流通させることができるからです。
つまりレンダリング工場で防腐剤や酸化防止剤、あるいはその他の仕入先工場で様々な添加物を使用していたとしても、ドッグフード製造工場で添加物を使用していなければ「無添加」になり、「無添加のドッグフード」として流通させることができるのです。

繰り返しになりますが、動物の脂肪から作られた油脂の中にも品質の良いものがあるので、全ての動物性油脂が危険であるとは言えませんが、「動物性油脂」の表記だけでは内容がわからず、危険性は否定できません。
少なくとも何の動物のどのような油か明記されていない限りは、「動物性油脂」は避けるべき原料であると言えます。


※ここで記述した危険な動物性油脂、安全性の疑わしい原料が一切使われていないドッグフードも少なからず存在します。
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